失業者と人材不足の謎
失業者の割合
2013年度の日本における完全失業率は4.0%。およそ25人に1人は失業者ということになります。世界の失業率をみるとドイツ5.5%、アメリカ7.6%、イタリアに至っては12.5%で、日本は比較的低いです。しかし、職安にできる長蛇の列、学校を卒業しても働けない若者たちなど、周囲を見渡せば明らかに「失業者が少ない」とは言えない状況が広がっています。
それもそのはず。実は日本が導き出している完全失業者の計算は「働けていない人」を正しく割り出せていないのです。
「完全失業者」を指す条件は
①仕事がなく調査期間中全く仕事をしていない
②仕事がみつかればすぐに就くことができる
③調査期間中に仕事探しやその準備を行っていた
上記の3つだけで割り出せばまだきちんとした数字が出るのですが
■調査期間1週間に求職活動をした者
■1週間のうち1時間でも働いた場合、失業者ではない
といった条件までが含まれているのです。調査の1週間以内にtまたま求職活動をしていなかった人や、なんらかの形で1時間以上働いてはいたけれど、仕事を探している人などは、カウントされていないのです。・・・本当の意味で「働けていない人」、日本の本当の失業者は、想像以上に多く存在していることが伺えます。
「失業者=働きたい」とは限らない
「そんなに失業者がいるなら人手不足はすぐ解消できる」と思われるかもしれませんが、現実はそんな単純なものではありません。まず、失業者みんなが「働きたい」と思っている訳ではありません。働いていない人たちの多くに、社会問題としてよく取り上げられるニート・引きこもりといった人たちの存在が含まれています。
世間では、働かないニート・引きこもりの人たちを見下し非難する傾向があります。しかし、本人たちには必ず「働きたくない理由」があるのです。多くの理由には日本社会が抱える苦しい労働事情が関係しており、ブラック企業が多い、就職サポートがない、社会が怖いなど実にさまざま。失業者を減らすには、「働きたくても働けない」人たちを周囲でしっかり助けていくことが大切です。
TOP3別に解析!人手不足⇒退職者続出の理由
人手不足の業界TOP3、外食サービス・医療業界・農業。これらの仕事に人が集まらない理由とはなんでしょう?
1.外食サービス
ライバル同士の価格競争が厳しく、人件費を削るしかない。結果、少ない正社員でアルバイトを管理することになり、社員は過酷な重労働を強いられる。⇒退職者続出
2.医療業界
医師や看護師になるには、資格取得のためにある程度のお金と時間が要されるため、容易に人材を確保できない。さらに、高齢化による需要の高まりからハードな職場が多い。⇒退職者続出
3.農業
体力をつかう仕事のわりに収入が不安定で将来性が見込めない。⇒退職者続出
人材不足解消の第一歩は人が集まらず続かない原因を突き止めることです。