医師不足の原因を探る
患者からは「3時間待ちの3分診療」のクレームでも、医師はとっても忙しい!
日本の大型病院に対するクレームのひとつに「3時間待ち3分診療」という言葉があります。言葉の通り、大型病院で施される「長い待ち時間に見合わない短い診療」に対して多くの人が不満を抱いています。
なぜこのような事態が起こっているのでしょうか?それには日本の医療体制が原因で引き起こされている、医師の過酷な忙しさが関係しています。
例として日本と欧米の医療体制(大型病院)をわかりやすく並べてみましょう!
【日本の大型病院の特徴】
■受付時間内ならいつでも来院OK!
■軽い症状でも診察可
■来院患者さんはその日のうちに全員診る
【欧米の大型病院の特徴】
■来院の際にはあらかじめ予約が必要
■医師から受診を認められないと診察してもらえない
■1日に診る患者数を制限している
両者を見比べると、日本の方が診療を受ける患者さんの自由度がかなり高いことがわかります。日本で、1日あたりの診療人数がずば抜けている現状は、当然の結果といっても過言ではありません。医師不足を改善する有効な方法は、“大型病院で診療を受けられる条件を設けること”だといわれています。医師が働きやすい環境が整えば、医師になることを希望する人が増えるという相乗効果も期待できます!
医師の絶対数の不足
2010年データをみると、医師数の全国平均は人口1000人あたり2.3人しかいない計算になります。年々医師数は増加傾向にありますが、実際に増えているのは40代以上の医師や、免許を持っていた元医師といった中高年の世代の人たちです。近年、未来の医療の担い手となる若手医師がなかなか集まらないことが、問題視されています。
医師の絶対数不足の理由は、高齢化による患者数の増加はもちろんですが、「医師=過酷な労働」というマイナスイメージの影響が大きいようです。
慢性的な医師不足が続いた結果、労働法を完全無視しないとやっていけない現場がたくさん存在しています。医療現場が人手不足でバタバタすれば、当然ミスの可能性が高まります。しかし、命に関わる医療行為での失敗は絶対に許されないため、常に万全の注意を払う必要があります。仕事風景を想像するだけでも医師に膨大なストレスがかかっているのが目に見えますよね。
世界的なデータでみると、欧州の1週間あたりの医師の労働時間が約45時間であるのに対し、日本は60時間を軽く超えています。医師を確保したいのなら、欧州に限らず世界の勤務体制を見習い、良い部分を取り入れるなどして医師の労働量を減らすことが先決すべき課題です!